2014年6月17日火曜日

麻生さんその解説はダメなんじゃないかな…

政治家がポジショントークをするのは振る舞いとしては間違ってないのですが、鵜呑みにする方もどうかしてる気がします。


麻生太郎氏による「日本の借金」の解説が超わかりやすい! 「経済をわかってない奴が煽っているだけ」

それと、当然円で賄われているから、いざ満期になったときどうすればいいかって、日本政府がやっているんですから、日本政府が印刷して返すだけでしょうが。だって日本円なんだから。簡単なことだろうが。外国に返すんだったら、そりゃドルに替えにゃいかんよ、ユーロに替えにゃいかん。ギリシャはみんなそうです。(日本は)全然違います。だから返さなくていい。


いやおかしいだろ。

恐らくテクニカルに、意図して騙しに行っているのだと思うのだけど、これ日銀と日本国政府を意図的に混同してます。

現代において紙幣を刷るのは中央銀行の仕事です。そして中央銀行は政府から独立した存在であります

この辺り歴史的な経緯を大雑把に纏めると信用を担保するために中央銀行を政府から切り離すのです。

今やってる量的緩和ですが、これは日銀の行為であり政府の行為ではありません。つまりボリュームが増えたのは日銀の貸借対照表であり、日本国政府の貸借対照表ではありません

早い話が日本国政府が赤字国債を補填するためには赤字国債を発行するか税収を上げるしか無いのです。だって貸借対照表上の貸方と借方は一致してなきゃいけないのだから。

で、麻生さんは『日本政府が印刷して返すだけでしょうが』と仰ってますけれども、日本銀行券を発行するのは日銀ですから、政府の貸借対照表とは全く関係ありません

ですから、繰り返しますが日本国政府がその借金を返済するためには赤字国債で補填するか税収を上げるかの二択しか無いのです

今FRBや日銀でやってる量的緩和も原則的には決して良いことではありませんけれども、ありゃあくまで日銀(中央銀行)が金融機関から資産(債券)を買い入れる行為であり、政府がどうこうしてるわけじゃありません

麻生さんはこの方面のリテラシーが非常に高い方だと勝手に思っているのでこの辺り混同しているとは考えにくいですし、となればこの発言は意図的に仕込まれた嘘、つまりポジショントークの一環です

前段で述べておられる「国民は預金を通して間接的に国債を買っている」というロジックがまちがっていないだけに尚更分かりにくい嘘に仕上がってますね。


というか誰も彼も別に早晩ギリシャになるとは言ってなくて、

「今の中高年が居なくなって預金の総量と税収が減った時にどうすんの?」

ってハナシをしているわけですよね。このテの議論は。

この辺り私なんかは

「金融機関の入札だけで将来も安定して国債を消化できるって自信があるなら個人向け国債なんて作らねぇんじゃねぇの?」

とか思っちゃいます。穿った見方ですけど。

2014年6月1日日曜日

グラフで見るバブル崩壊後の製造業

GNPの統計も探してくるべきだったと後悔したけど、まぁ折角作ってみたので貼る。因みに内閣府のページ行ったら統計貰える。産業別のが欲しければなんかgoogle先生に訊いてみるといい。誘導してくれるから。

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/menu.html


先ず、製造業の1994-2012年の前年比増減率で見てみる


これ全部前年比なんで、リーマン・ショックでガックン落ち込んだのが翌年ガッツリ盛り返したりってのがよく分かる。


で、お次は1995年度の産業別内訳。


大体比で見ると製造業が3%ほどサービス業より大きい感じ。で、次に大きいのが卸売業。また情報通信産業はこの時点では3.5%に過ぎない。また自民党パワーなのか建設業は全体の9.4%、金融業は8.4%を占めてる。







今度は2012年度の内訳。



やっぱり一番大きいのが製造業で、次いでサービス業、卸売業が追う展開。一番伸びてるのが情報通信産業で、2012年度はGDP全体の6.5%にまで拡大してる。約1.8倍になってる。ついでに建設業は5.8%まで縮小。加えてなんだか普通に生活してる分には金融業が活況という気もするけど、GDPで見ると寧ろ縮小してる。前年比で経年の増減見ても基本的には減少トレンド。だから個人投資を増やしましょうって政策を打つわけだ。



で、ふわっと言うと確かに足元で産業の空洞化は進んでるのかもしれないけど、未だに製造業は結構強いわけだ。やっぱり実際製造業に行った人達に聞くと「いやだいぶ前からガンガンオフショアしてるよー」みたいなお話も聴くわけで、ものづくり日本のイメージが現実にどこまで有効かは分からないけど、とりあえずGDPで見る限りこんな感じになってる。

で、なんかこの辺りもう少しさ、経団連の企業内訳なんかも含めてもう少しお勉強できたらなと思う。なんでAmazonさんはもっとこの辺の関連書籍kindleに上げちくり〜。マクロ経済史みたいなところに言及する書籍って全然置いてないんだよなぁ。